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歩いてきた道を振り返って

術後1年半、自分が歩いてきた道を振り返って、最近の考え方を整理してみると、渡辺容子さんのように「転移したガンは治らない」と達観して大きく構え、ガンに主体的に関わり治療法は自分で決めるという方法も、それで現実に18年も生きたわけですから、一理あるなと思えるのですが、それでもやはり、これまでのわたしの考え方は揺るぎません。

1 術後はできるだけ早く、一気に玄米菜食に切り替える。(その前に、特に大腸ガンの場合は、断食や内視鏡検査時のように下剤を飲むなどして、一度腸全体をきれいにすること。牛乳・乳製品は摂らないこと。)体のスイッチを入れる。

2 腹式深呼吸をマスターして、いつでも自分の体に戻れるようにする。瞑想して体を副交感神経優位の癒しのモードにする。よく寝ること。

3 歩く。ジョギングする。公園で太陽に向かってストレッチをする。

4 体を冷やさない。冷たいものを飲まない、食べない。体をあたためる。

5 ガン性格を治す。自己への配慮を失わない。自分のガンは自分で治す。希望を持ち続ける。

6 ガンの主な原因は免疫システムの異常であり、免疫力の低下である。

7 要素還元主義は無効である。

8 家族、人間関係を大事にする。

これぐらいでしょうか。なんか、整理になってませんが…。
特に、7 に関しては、きのうもどこかのブログで「免疫力を高める新成分『プロリコ』(?)」とかいう広告を見ましたが、「わかってないなあ」と思います。そんな新成分だけでガンが治るなら、誰も苦労はしないのです。
ガンの精神的な面を忘れてほしくないと思います。

癌人に東京の生活は無理なのか?

わたしのガン体験は、もう記憶になりつつあるのだと思います。
わたしのガンを切り取ってくれた主治医とは、もう会うこともないのだし、来月は肝臓の定期検診が入っていますが、その後は8月のCTで、よほど生活が悪化しない限りは、このまま無事に術後2年を迎え、また、一つ区切りがついて、仕事の方へ傾いて行くのだと思います。

あまり信用はしていないのですが、一応、計算してみたら、わたしのガンのダブリング期間は、短くて約1年半で、実際に1年半経った今、何ともないのだから、ゆっくり構えていればいいという気もしますし、いやいや、肝臓の半分以上を切り取るほど転移していたのだから、主治医の言ったように、いつ再発・転移があってもおかしくないとも思います。
ガンは治ったという確信はありますが、ガンに絶対はないのだから、油断は禁物だという意味です。

現実には、家族の生活もありますので、以前のように今の3倍の仕事をこなす必要があるのですが、それで今の健康状態を維持できるかと言うと、はっきりいって無理でしょう。
では、どう折り合いをつけていくのか?
思い切って生活環境を変えたらどうか?
最近は、そう思うようになってきています。癌人には東京の生活は時間が速過ぎて無理なのかもしれない、と。

考えてみると、最初の危機をなんとか仕事を変えて凌いだ2005年から、わたしは妻と二人で山歩きを始めたのでした。
わたしの身体が、無意識に自然の時間を求めていたのだと、今なら理解できます。

わたしの治癒の原点

反省してみると、3月は家で仕事に集中していたのが、4月の中旬から週に3日職場に通って仕事をするようになって、その日は散歩の代わりに駅から約3km歩いて帰るようになり、生活が微妙に変わって来て、朝の公園へは行かなくなってしまったし、毎日の昼寝も不定期になってしまいました。

それに加えて、「ガンはもう治った」と思うと、「ガンを治す」という最大の目標が消えてしまって、そうなると、今の状態を維持するという意識も保てなくなって、いつのまにか自分の体への意識が薄れていっているのでした。

今日、夕食後、久しぶりにベッドに横になり、呼吸に意識を合わせて、呼気で体をゆるめていって、何も考えず、からだ全体で癒しのモードに入っていって…、やっとそのことに気づくことができました。
そうしてやっと自分自身の体を取り戻すことができました。

これが、わたしの治癒の原点だと、改めて思います。
手術後、おなかに大きな傷を負って、腹筋を使えず、ひたすらベッドに横になって回復を待った日々に始まり、退院後、必死で自分なりの道を切り拓いていく中で、わたしは呼吸法に目覚め、自分自身の体を見出したのでした。

これからは、また仕事に追われ、自分の体が薄れていくのでしょうが、このわたしの治癒の原点に、いつでも戻れるようにしたいと思います。

疲れやすくなったのか?

ほんとうは今月末締め切りの仕事を抱えているのですが、先月の妻のピアノ演奏の本番から、連休の山歩きを経て、エアポケットに入ったようになって、次の目標へと気持ちが切り替わらないままでいます。
今朝は、妻に「疲れやすくなったわね」と言われてしまいました。

先日も久しぶりに、いつもの川沿いの散歩コースで500mばかりジョギングしてみたら、山歩きの後で筋肉がついていてどんどん脚が進んだので、体力が落ちたとは思わないのですが、確かに、以前と比べて運動量は減ってきたなと思います。それで、一度の山歩きでは、おなかの脂肪は取れず、またダブついてきている感じです。

それと、やっぱり睡眠時間が少し短くなってきているのが問題だと思います。
それはなぜかというと、やっぱりこのブログに時間を取られているからです。
わたしも、妻のように、下水道のように言葉が出てきたらいいのですが…。

また、仕事と、それから、おなかの脂肪を取ることに向けて、生活を立て直していこうと思います。

定期検診は希望につながる

きのうの、わたしのガンが転移するまでの期間についてですが、きのう計算したのは最長の場合であって、検査で見つからないだけで、既に、4ミリまで達していたとしたら、5ミリで発覚するまでに1ダブリングで、わたしの場合1年半、3ミリだったら2ダブリングで3年ということになります。

というように、10ヶ月や1年半といった常に一定のゆっくりした速度でガン細胞が分裂すると言えるのなら、また、「転移したガンは治らない」とするのなら、渡辺さん=近藤さんのように術後の定期検診も必要なく、症状が出てから対処すればいいと考えるのもよく理解できます。

わたしも、生活習慣全体が改善され、免疫システムが正常な状態を維持できれば、定期検診など必要ないと思います。それでもガンが再発・転移するなら、それはもう避けようのないことだからです。それに、今なら自分の体の異変には、自分で気づくはずだからです。

では、なぜ今も定期検診を受けているのかというと、それは自分自身の健康な体を確認して、自分がやってきたことがムダではなかったと確信したいからにほかなりません。そしてまた、油断するなと、自分を戒めるためにほかなりません。今は、中性脂肪の数値を基準値内にまで下げることが目標になっていて、その達成確認の意味もあります。

定期検診が希望につながるのなら、わたしは意味があると思います。
ですが、いずれ年に1回程度にまで、徐々に減らしていこうと思っています。

ガンは転移しても治せる

『乳がん 後悔しない治療 よりよく生きるための選択』(渡辺容子 径書房)には、ガン細胞が成長するスピードを計算する方法が示してあります。もともとは、『患者と語るガンの再発・転移』(近藤誠 三省堂)に拠るのだそうです。

ガン細胞は倍々で分裂していくので、1度の分裂を1ダブリングとすると、
「がんが最初に誕生したときの細胞ひとつの大きさは10ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)。その10倍の直径100ミクロンになるのに10ダブリング。さらに10倍の1ミリになるのに10ダブリングしています。
 では、この1ミリのがんが5ミリになるまでに何ダブリングしているかを計算すると、直径が5倍になると体積は5×5×5=125で、2の7乗である128から7ダブリングとします。つまりがんが5ミリになるまでには、10+10+7=27ダブリングしていることになります。」

これでいくと、著者の渡辺さんの場合、最初に発見した時が5ミリのしこりで、6年後に4センチつまり8倍になったので、8×8×8=512=2の9乗=9ダブリング、つまり、6年で9回分裂したということですから、1回の分裂にかかった期間は「6÷9=0.67年=約8か月」となります。これを「ダブリングタイム」と言うそうです。

わたしの場合は、ウンチにうす赤い粘液が付くようになったのが2004年で、手術したのが2010年、切除した患部の写真を見ると約5センチだったので、2004年の段階を2センチと仮定すると、6年で2.5倍になったわけで、2.5×2.5×2.5=15.625=2の4乗=4ダブリング となって、ダブリングタイムは、6÷4=1.5=1年半となります。

それで、たとえばPET検査で発見できるのは大体5ミリ程度からと言われているので、今後、わたしの体の中のガン細胞が5ミリまで成長して発見されるのにかかる時間は、27ダブリング×1.5年=40年半となってしまい、わたしは93歳になっているということになります。ただし、この速度では最初のガン細胞ができたときわたしは生まれていないことになってしまいます。

で、2004年の段階を1センチだと仮定しても、6年で7ダブリング、つまりダブリングタイムは、6÷7=約0.85=約10ヶ月となって、27×10=270ヶ月=22年半、つまり、75歳に発見されることになります。これでも、わたしのガンはずいぶんゆっくりと成長するタイプだということになります。

ということで、この考え方でいくと、わたしは後20年もガンが治ったとは言えないことになるのです。
ちょっと計算が現実とかけ離れているように思いますが、術後5年以上経たないと治ったと言わないのは、こういう計算に基づいているのでしょう。

しかし、どうもわたしの実感とは違います。
わたしの実感では、精神的な危機に陥った2004年と2010年にガンの増殖が加速され自覚症状が現れたと確信しており、その間は小康状態というか、ある程度回復していたはずだからです。
つまり、ガン細胞の成長は、けっして機械のような一定速度で進むわけではないということです。
そこには、食事や人間関係など免疫システムに連動した様々な要素が関わって来るからです。

どうも、渡辺さんは、即ち彼女の師である近藤誠さんは、そういう「非西洋医学的な要素」は最初から頭にないようで、残念です。
実際に、本の中で免疫について触れられているのは最後の「おわりに」というあとがきの中だけでした。

「私たち人間の身体のなかでは1日に何十個ものがん細胞が生まれています。しかし、免疫系がそのがん細胞を殺すので、全員ががんになるわけではありません。そのうえ、免疫系から逃れて生き残ったがん細胞が転移する能力をかちとらなければ、宿主を殺すことはありません。がん細胞が宿主を殺すようになるまでにはいくつもの関門を突破しなければならないわけです。そんなむずかしい関門を突破して、宿主を殺す能力を獲得するには相当な意志がはたらいているような気がします。」

残念ながら、ここには「ガンの原因は免疫システムの異常である」という発想が見られません。わたしには、渡辺さんが「転移したガンは治らない」という近藤誠さんの考えに縛られているように見えます。
これに対して、済陽高穂さんの『今あるガンが消えていく食事』(マキノ出版)の中には、ちょうど渡辺さんと同じような症例の茂木さん(仮名)が、乳ガン切除(温存療法)の10年後、頭蓋骨から腰椎まで脳腫瘍を含む全身への多発性転移が確認され、済陽さんに相談した結果、ホルモン剤治療、ガンマナイフ療法(脳腫瘍)、開頭手術(頭蓋骨転移巣)を受けて、退院した後は徹底した食事療法により、見事に回復し、職場に復帰したことが示されています。

茂木さんは、「入院中から退院後の数ヵ月、私は毎日のように、星野先生のご著書『ガンと闘う医師のゲルソン療法』の中の「ゲルソン療法によるガン勝利者の証言」という章をくり返し読んだり、アンドルー・ワイル博士の『ナチュラル・メディスン』というCDブックを聴いたりして、「治る、治る、治る……」と自分に言い聞かせていました。」と言います。

わたしは何も精神論を唱えたいわけではありません。
「ガンは治る」「ガンは治せる」という希望は、ガンの原因である免疫システムの異常を治す上で、大きな要素となると言いたいのです。フランクルの『夜と霧』を引用するまでもなく。

免疫システムの異常は、ガンが転移した後でも治すことができるのだ、と。

ガンが治るということ

きのう、2ヶ月ぶりに病院へ行った時の感想ですが、以前のように、入院中の自分が思い浮かぶようなこともなく、もはや自分は完全に外部の人間になってしまったなと、実感したのでした。
主治医の話でも、わたしが入院中お世話になった医師たちも、もう異動でここにはいないとのことで、入院棟へ行ってもわたしを覚えている看護師さんはもういないのだろうな、と妻と話したのでした。

この間も妻と話したのですが、「ガンが治る」というのは、もちろんガン細胞が正常細胞になるわけではないし、ガン細胞が自分の体からすべてなくなるわけでもない以上、自分の「生活習慣が治る」ということにほかなりません。
そして、「生活が治る」ということは、「食事・睡眠・呼吸・運動が治る」ということであり、「考え方が治る」ということにほかなりません。
そして、また、「生活が治り、考え方が治る」ということは、ストレスがなくなり、自身の「免疫システムが治る」ということにほかなりません。

このような意味で、今では、わたしは術後2ヶ月で「ガンは治った」と確信しています。
けれども、通常、「ガンが治った」と言うには少なくとも5年の時間が必要とされているのは、なぜでしょうか。
その辺について、『乳がん 後悔しない治療 よりよく生きるための選択』(渡辺容子 径書房)に書いてあったので、これについて、また明日、考えてみたいと思います。

Appendix

プロフィール

Author:ryusola
2010年11月に S状結腸ガン ステージⅣ(肝臓転移6箇所)の手術(切除)を受けました。
その後、抗ガン剤は受けず、今は元気に回復しています。
松岡龍美 男 
1959年山口県特牛生まれ 
東京在住
spacesola@jcom.home.ne.jp

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